健康とは

近年、「介護予防が大切だ」と言われるようになってきました。

介護予防とは、高齢者が要介護状態等となることの予防(または要介護状態等の軽減、もしくは悪化の防止)を目的として行うものです。

しかし、リハビリ専門職である理学療法士の立場として、働き盛りの40代・50代で病気となり、障碍を持った方々と関わる中で、

「もっと気を付けていればよかった…」
「若いときに気づいていれば…」
「病気になって初めて健康の有難さに気づいた…」

このような後悔の想いを幾度もお聞きしてきた身として、私は、65歳以上の高齢者層に限らず、もっと若い世代に対して健康の知識や技術を伝えていく必要があると考えています。

こんな話をすると「病気とは遠い距離にいる若い世代は、健康に無関心なのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、健康とは病気であるかないかの状態ではありません。

“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”

「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」

このWHO憲章の『健康の定義』の一文が示すように、健康とは「体」と「心」、そして「人間関係」のすべてが満たされている状態にあることを意味します。

「体」には恵まれた状態にあることの多い若い世代でも、「心」と「人間関係」が満たされていなければ、それは健康であるとは言えないということです。

「体」と「心」と「人間関係」は繋がっている

ハーバード大学成人発達研究所(Harvard Study of Adult Development)の4代目の責任者であるロバート・ウォールディンガー氏による研究内容によると、

  1. 周りの人との人間関係は健康に良い
  2. 人間関係の満足度が健康に影響する
  3. よい人間関係は脳にもよい

ことが分かったそうです。

これはつまり、「体」と「心」と「人間関係」は繋がっていることを示唆しているわけですが、私自身の過去=父の記憶を振り返っても、確かにその通りだなと実感します。

私の父は、私が物心ついた時には、アルコール依存症で母に対して暴力を振るっていました。そんな父は、私が結婚した3日後に急性心筋梗塞亡くなりました。今いる私の3人の子供の姿を見ることなくこの世を去りました。

当時は、どうして父がお酒をコントロールできなかったのか、全く分かりませんでしたが、母に当時のことを聞く機会があり納得したことがありました。いつもお酒を飲み始める時は、会社の同僚との関係性や父の兄弟との関係性に悩み、愚痴からお酒に飲まれていったそうです。

「人間関係」の悩みが「心」と「体」を蝕んでいったのだと思います。父も悩んでいたんだなということを、子どもの頃はわかりませんでしたが、今では理解できるようになりました。

これは私自身の話ですが、皆さんもご自身の過去を振り返る中で、「体」と「心」と「人間関係」は繋がっていることを実感する出来事があるのではないでしょうか?

健康の知識と技術を届ける手段

“健康とは、健康とは病気であるかないかの状態ではなく、「体」と「心」と「人間関係」のすべてが満たされている状態にあること。そしてそれぞれが繋がっていること”

この前提に立った上で、若い世代に対して、どうすれば健康の知識や技術を届けることができるのか?

そのためには、法人企業や自治体などで健康に関する研修を実施することが有効ですが、健康という言葉やテーマには「我慢」や「節制」といったイメージが強いせいか、座学研修で健康の知識や、健康を維持・改善するためのノウハウをお伝えしても、いまいち伝わらない感覚があります。

そんな時に出会ったのが、ビジネスゲームという手法でした。

健康の知識や技術を『ゲーム』というテクノロジーを活用して抽象化することで、研修受講者はゲームを楽しみつつも、そのゲーム中の自身の行動を振り返ることを通じて、健康について自分事として考えることができるようになります。

このビジネスゲームの手法で開発したものが「健康経営ゲーム」と「健康チェックカード ―心技体―」です。

「健康経営ゲーム」は健康を個人の行動に依存するのではなく、人間関係をベースに組織の仕組みとして捉え、健康への投資が企業や組織の業績に影響を与える事を模擬体験できるようになっています。

「健康チェックカード ―心技体―」は心身の状態を数値化することにより、個人が自身の状況を正しく認識し、正しい方法で生活習慣を改善する行動をするために役立つものです。

私たちSUDACHIは、これらのビジネスゲームを通じて「健康は技術」であることを多くの方にお伝えしていきます。

私たちの活動を通じて、伝えたいこと、生み出したい未来

私たちSUDACHIが目指す未来は「誰もが100歳まで挑戦できる社会の実現」です。

私の父が「いつか孫を抱きたいな」と思い描いた未来。
障碍をお持ちになった方がもう一度挑戦したいと願う未来。

障碍をお持ちの方も健康な方も、誰もが100歳になってもやりたいコト・叶えたい未来に挑戦するための「理想のカラダ、挑戦できるカラダをつくる」ことをミッションとし、介護・予防・健康経営・地域共生社会に関わるソリューションを通じて社会に貢献していきます。

そして、未来を担う子供たちにも健康の大切さを伝え、「誰もが100歳まで挑戦できる社会の実現」をこれからも目指していきます。