健康経営と人材確保

現代の日本は、超少子高齢社会を迎え、様々な問題が出てきています。

今回は、企業が健康経営を実践することのメリットを、従業員の健康管理や生産性向上の側面だけでなく、人材確保の観点からデータなども含めて考えて行きたいと思います。

企業が求める人材の基準とは?

人材確保を考える上で、まず、企業が求める人材とはどのような人材なのでしょうか?

これは弊社も一企業ですので、ズバリ答えは「利益を上げるために企業に貢献できる人」です。人柄が良い、技術がある、学識があるなどといった部分も選ぶ際には重要な要素ですが、企業の目的が、「利益を上げること」であるならば、必要な人材は「利益を上げるために企業に貢献できる人」となるのは必然なことです。

それでは具体的に利益を上げるために必要なことはどのようなことでしょうか?様々な要因があるとは思いますが、基本は需要と供給の原理原則に代表されるような、

1)売れる商品を開発する

2)売り上げを増やす

3)コストを削減する 等

といった行動が必要になります。この行動それぞれには、〇〇〇〇商品を開発するといった共通の言葉が入ります。

それは「どのように」という言葉です。

どのように売れる商品を開発するか、どのように売り上げを伸ばすか、どのようにコストを削減するかといった自分で考えて行動できるかが利益を上げるために必要な要素です。

これを裏付けるように、多くの企業の採用ホームページに掲載されている「求めている人材」を確認していくと、自分で考えて行動できる人が求められていることが分かります。

・「自ら高い目標を掲げ、周囲を巻き込んで挑戦していく人を求めます」(TOYOTA)

・「勇敢に挑戦し、最後までやりとげる」(日本航空)

・「夢や人生の目標を持ち、実現に向けて自ら努力し、行動できる人」(伊藤園)

様々な表現になってはいますが、共通するのは「自分で考える」というキーワードが当てはまります。

 

学生が選ぶ企業の基準とは?

一方で就活生は企業をどのような点で選んでいるのでしょうか?

2017年卒マイナビ大学生就職意識調査によると、行きたくない会社の

1位は「暗い雰囲気の会社(36.0%、対前年±0)」で17年連続の1位

2位には10年連続で「ノルマのきつそうな会社(30.4%、対前年0.6pt減)」

3位には「休日・休暇が取れない(少ない)会社(27.1%、対前年比 0.3pt減)」

が選ばれ、5年連続で増加したとのことです。

現在志望している職種別に、「行きたくない会社」を見てみると、全ての職種で「ノルマのきつそうな会社」または「暗い雰囲気の会社」のいずれかが最も多く選ばれていたとのことです。

これらの調査結果から、ストレスに関わる人間関係が良いことやワークライフバランスが保たれていること、業務的に過度な負担が無いことなどの他に、企業イメージが良いことなどが働くうえで重要視されることがわかります。

 

学生のニーズから〜健康経営=次年度の採用活動〜

日本は人口減少時代を迎え、2030年には約800万人の就業者が減少するとの推計もあります。今後、急速な労働力不足に陥らないためには、少しでも少子化に歯止めをかけるとはもちろんのこと、企業においては、人材の確保に重点を置き、企業活動を維持できる環境を整え、かつ就業者の生産性向上を図ることが喫緊の課題であるといえます。

生産人口が減少すれば、企業が欲しい人材も少なくなることは明らかです。企業は自社が欲しい人材を、いかに自社に呼び込むかが人材確保の重要点となります。

また、企業の採用活動は単年度で行われるものではありません。次年度も、またその次年度も継続的に行われるものです。昨今ではSNSなどの多様なコミュニケーションツールの進歩によって、企業の取り組みを学生が情報提供できる時代へと変わりました。企業内での健康経営やメンタルヘルス対策の取り組みを、企業や参加した社員が発信することによって、「働きやすい環境を整えてくれている企業」という安心感を提供することにより、次年度以降の採用活動に良い影響をもたらすことになります。

健康経営に取り組むことは、人材確保のリスクマネジメントになるのです。