学生が感じたビジネスゲームの体験

弊社では、リハビリ専門職を目指す学生が、リハビリテーションの場面と社会経験=働き賃金を得ることを直接学ぶことが出来る仕組みの一環として、積極的にアルバイトを採用しています。

今回は、女の子の学生が、約半年間現場で働いてみた経験と、ビジネスゲームに取り組んでみた感想を、まとめてもらったので、一切加筆せず紹介したいと思います。

彼女が経験したことから弊社が学んだことも合わせて考えてみたいと思います。

 

半年現場を見て

私が初めてSUDACHIにアルバイトに来て、半年経って思った事や感じた事をまとめた。

直ぐに感じた事は知らない事の怖さだ。

今までは何となく学習してきていたが、アルバイトで知識がないと利用者様にとって利益が全くない。主訴・要望を聞いたところでどうして良いか分からないし、いろんな事の説明ができなかった。家に帰って調べて翌日に、説明や評価、運動の提案をした事が何回もあったが、その日の利用者さんの時間は返ってこない。もしかしたらインシデントを起こしてしまっていたかもしれない。アルバイトをして日々の学習不足や講義の態度を改めようと思った。

他にもスタッフの姿を見て感じた事や、利用者様とのコミュニケーションの取り方など感じた事はたくさんあるが、このSUDACHIだから感じられた事がある。それは熱心に暖かく利用者さんと向き合えば、利用者様もリハビリ熱心で暖かくスタッフを受け入れてくれるという事だ。

初めてSUDACHIに来た時は、利用者さんが学生の私を受け入れてくれるか凄く不安だったが、みなさん凄く暖かく受け入れてくださり、SUDACHIの一員として見てくださった。

それは元々のスタッフ皆さんが一人一人の利用者さんの情報をこまめに共有したり、暖かく受け入れて熱心にリハビリを行なっているからであると感じた。私もアルバイトだからこそ出来る事は無いかと自分なりに考えて、一日一言は全員と言葉を交わしたり、なるべく周りの様子を見たりするようにした。また、そこから知った情報をスタッフに伝えるようにした。実習はもちろん、私生活でも『類は友を呼ぶ』という事を頭において行動しようと思った。

 

ビジネスゲームを経験してみて

ビジネスゲームは2つあり一つは健康チェックカード。もう一つは健康経営ゲームがある。両方のゲームをやってみての感想などをまとめた。

ビジネスゲーム:健康チェックカードゲームでは、心・技・体の大きく分けて三つの項目に分かれている。

私は技・体の中でも生活習慣に関係する事で点数が低かった。実際夜寝る前に飲食をしてしまう事、足を組んでしまう事、猫背である事など自覚がある項目ばかりだった。分かっているけどなかなか改善できずにいた。この健康チェックカード1項目につき検査とその結果そして改善方法やアドバイスが書いてある。このアドバイスが私にはとてもありがたかった。例えば、足を組んでしまう事についてカードには『どうしても足を組みたい場合は逆の足で組んでみる』とある。このアドバイスがあるおかげで私はこの日からいつもと逆の足で組むように意識した。そして、せっかく意識して逆の足で組むのなら組むのをやめよう。と思えるようになった。他にも直ぐに実践できるアドバイスがたくさんあり次回の点数が初回よりも高得点になる事を期待している。

ビジネスゲーム:健康経営ゲームでは、資金・体力・精神のカードを資金にプロジェクトを成功させ資金・体力・精神を増やしていく事が目的のゲームだ。

初めてのゲームで少しルールがややこしく戸惑った。ゲームをやっていくうちに少しづつ理解してきた。しかし残念ながらルールが分かってきたところで終了してしまった。私はゲーム内で精神、体力が大切である事やコミュニケーションをとる事の重要性よりも感じた事がある。

それは「やっていくうちに分かってくる」という事だ。

言葉で説明しきれない事や言葉では伝わりにくい事はたくさんある。このゲームもそうだったし、アルバイト中、利用者様に動作指導する時もそれを感じた。分からなくてもやってみる事や自分の言葉が伝わらない時はやって示してみる事が凄く大切だと思った。何でもやってみればいいというわけではないが、「時には勇気を持ってまず行動してみる」という選択肢が私の中で増えた。

 

まだまだ私に出来る事を見つけて行う必要があるし、理学療法士の学生としてアルバイトに来ているため、考えたりやらなければならないと思うことはたくさんあるが、半年かけて私は特にこの2つの事を感じた。きっとこれ以上にたくさんの事を感じ、考えさせられる経験を私はしているのだと思う。

 

ライター:加藤志歩

富山医療福祉専門学校理学療法士学科

リハビリ専門職である理学療法士国家資格取得に向け日々勉強中。SUDACHIでの経験から理想の理学療法士像を追い求め奮闘中。

 

 

ビジネスゲームの学習モデル

同じような経験をしても成長する人としない人がいますが、その差は学習者が経験から学ぶサイクル、いわゆる「経験学習モデル」を持っているかどうかだと言われています。ゲームを使った当社の研修はこのサイクルにそって参加者が自分自身で学べるようデザインされています。

彼女がこの半年間で気づき学んだことは、まさに、この学習モデルに沿っての経験であると捉えることが出来ます。

 

「知らないことの怖さを経験」→「自ら調べ振り返る」→「調べた事を自分の言葉で提案する」→「学習不足や講義への態度を改める」

 

といった、効率の良い学習を実行出来ていたのだと振り返ることが出来ます。これには、弊社の理念である「巣立つ」の精神に沿って、作業は教えるが答えは教えないといった教育方針にも沿っています。

一方で、人は分からないことを実践することに恐怖をおびえる側面も持っています。その対策として弊社では、教育の一環で健康経営ゲームをとり入れています。

彼女がビジネスゲーム:健康経営ゲームで学んだことは、まさに行動する事の大切さでした。ルールがやっと理解できた時にゲームが終了してしまい、ほとんど行動できずに後悔したと彼女は振り返りで話ししてくれています。

ビジネスゲームで模擬的に体験したことを、現場で活かし、「私もアルバイトだからこそ出来る事は無いかと自分なりに考えて、一日一言は全員と言葉を交わしたり、なるべく周りの様子を見たりするようにした。また、そこから知った情報をスタッフに伝えるようにした。」と行動変容が起こっていたのです。

 

「動けなかった経験」→「行動できなかったことを後悔」→「やっていくうちにわかってくると学びを言語化」→「具体的に実行」

 

このような学習モデルによって、弊社の利用者様からも、「彼女とても成長したね」とのお話をいただくようにもなりました。

彼女は文章で、「私はゲーム内で精神、体力が大切である事やコミュニケーションをとる事の重要性よりも感じた事がある。」と表現していますが、実際には、周りの様子を見たり、情報をスタッフに伝えたりするといったコミュニケーションの大切さを現実世界でも無意識に実行していたのです。このようなことが、利用者様にも伝わり、成長したと感じて頂けるようになったのだと実感しています。

 

新人研修として

彼女の経験を通して、学生や新人が最初にぶつかる社会の壁は、「わからない」ことへ「行動する」ことへの最初の一歩であることだと実感できました。わからない事への不安や、行動できないことが機会損失しているということを模擬的に体験=失敗できれば、現実社会で失敗しないように自分で考え動くことが可能となります。さらに、自分一人では解決できないことや他者とのコミュニケーションが仕事を行う上で重要であることを、無意識に体感し身に付けることが可能となります。

ビジネスゲームはそんな要素を含んでいるため、新人研修として取り入れることで、新社会人としてのスタートを切りやすくなるといえます。

弊社でも継続的に健康経営ゲームを実施することで、コミュニケーションの充実と、行動することの大切さを、忘れないようにしていこうと考えています。