生産年齢人口が今後ますます減少し、企業における「ヒト」への投資はさらに加速すると考えられています。このような中で、健康経営を取り組む企業は大手企業を中心に増加傾向にありますが、経済産業省が行なった健康経営調査の回答率において、上場企業でも20%未満に留まっており、中小企業においてはさらに認知度も低いことから、今後も健康経営を実践する企業や認知を進めていく必要があるとされています。
それでは健康経営や健康投資を進めていくことの意義はどのようなものがあるのか?について、経済産業省アクションプラン2017(案)*平成29年3月31日 から考えてみたいと思います。
健康投資を進める意義
アクションプラン2017(案)の中では、健康投資を進める意義として
・少子高齢化等により労働力が限られていく中、人財投資は全ての組織にとって持続的成長のカギ
・人財投資を通じた従業員の健康増進(健康経営)に取り組む意義を普及させることで、経済の持続的成長と同時に、“生涯現役社会”の構築を目指す
といった2つの意義が述べられています。
今回は人材投資について考えていきたいと思います。
人材への投資
今までも人材への投資は研修などを通して実践されてきましたが、その多くは専門的なスキルや戦略立案や業務プロセス、実績管理などに代表されるマネジメントスキルなどといった専門的なスキルへの投資が大多数でなないでしょうか?
私自身の経験からも、前職で自身が取り組んでいた研修といえば、専門的なスキルを高めるための研修が多く、自己能力を向上させることによってお客様への貢献度を高めることを目的として、研修に取り組んでいたことを思い出します。
ただし、ここでの人材への投資は健康に対しての投資です。この意味を考えてみると、実は非常に納得できる考え方であることがわかります。
1つ例を挙げて考えてみると、明日に重要なプレゼンがあったとします。プレゼンを成功させる為に事前準備を念入りに行ってきましたが、当日の朝、起きると倦怠感が身体を襲い、39℃もの発熱があったとします。それでも変わりにプレゼンを行うことができる人はおらず、体に鞭打ってプレゼンに臨みましたが、結果は散々なものとなってしまいました…。
これは、数年前の私自身の経験談なのですが、誰もが近い経験をしたことがあるのではないでしょうか?いくら専門的なスキルを高め、自身の能力を上げたとしても、その能力を十分に発揮できなければ成果は上がりません。まさに、よりパフォーマンスを上げるには土台である健康がしっかりと保たれていることが重要なのです。
上記のような一般的な風邪などは様々な環境要因などによる物も多く、羅漢することをゼロにすることは不可能であるかもしれませんが、糖尿病や高血圧症などといったいわゆる生活習慣病に関しては、コントロールが可能な部分が多くを占めます。もちろん糖尿病や高血圧症などを羅漢することによって、パフォーマンスが低下することは、以前御紹介したデータからも明らかです。
これまで、健康管理は個人に任されていた部分です。しかし、これからは企業が社員の健康へ投資することによって、仕事のパフォーマンス向上させ、業績の向上や組織の持続的な成長を考えていくことが必要となってきているのです。
周囲への波及効果
さらに、社員の健康へ投資するということが、リクルート市場からの信頼(ホワイト企業としてPR)や社員の家族・地域住民からの信頼、ビジネスパートナーからの信頼へつながるといった波及的な効果も期待できるとされています。
これは、弊社でも感じていることですが、弊社の事業の1つである介護保険事業のリハビリテーションにおいて、健康で明るく活き活きとしたスタッフがサービスを提供することにより、利用者様自身からも信頼されるのはもちろん、そのご家族や関わる関係職種からも信頼を得ることができ、様々なご提案を気軽にしあえるといった循環が生まれています。逆に、不健康そうで暗いスタッフがサービスを提供しているとどうでしょうか?どんな素晴らしい専門的なスキルを持っていたとしても、効果は望めそうにもありません。
「ヒト」が健康で活き活きとしていることが、パフォーマンスを向上させ、周囲を巻き込み、信頼を得ていく1つの方法であるといえます。
そのためには、身体の壁(健康経営の推進)と価値観の壁(健康情報活用による行動変容等)について考えていく必要があります。特に、1人ひとりの健康や生活、人生の価値観は違うため、様々な正しい情報や事実を的確に伝え続けていく事が必要となります。時間はかかるかもしれませんが、価値観の部分こそ、重要な施策になり、結果健康経営はスムーズに浸透していくと弊社は考えています。