会社経営を考えるにあたって欠かせないものが経費=コストです。
コストと言えば聞こえは悪いですが、会社経営には欠かせない要素であり、コストと捉えるか投資と捉えるかによってその考え方と意味は大きく変わります。
健康経営に関しても経営と言葉がつくからには欠かせない要素であり、健康経営を推進する際に、誰もが考える部分であるといえます。
今回は健康経営に関するコストについて考えてみたいと思います。
休職のコスト
休職者のコストについてある試算について、例えば、年収500万円の社員が1年間休職したとすると、
本人に支払う金額は583.3万円
- 休職中の月手当(月給6万円の2/3=27.7万円)×休職期間12ヶ月333.3万円
- 発症/試し出勤中の計6ヶ月分の給与250万円
発生コストは941.8万円
- 既存社員の残業代+代替社員の教育費等6万円
- 代替社員の給与×休職期間12ヶ月500万円
- 上司・人事の対応(月1万円)×休職期間12ヶ月25.2万円
となり、計1525.2万円がかかる試算結果もあります。
社員が休職することは、企業にとってはヒト・モノ・カネといった経営資源の大きなリスクになります。病気になり、休職すると休職しない場合と比較し約3倍ものコストがかかることは大きな問題です。これが、中小企業で社員が少ない会社であればあるほど会社経営への影響は大きくなるといえます。
健康経営の投資効果(コストパフォーマンス)
経済産業省によると、長期的なビジョンに基づき、従業員の健康を経営課題としてとらえて健康経営に取り組むことは、従業員の健康保持・増進、生産性の向上、企業イメージの 向上等につながり、ひいては組織の活性化、企業業績等の向上にも寄与するとされています。実際、健康投資と企業業績との相関を示すデータも存在します。
日本総合研究所は、健康投資に積極的な企業の株価は全体に比べ高い値を示しているとの調査結果を発表しています(図参照)。また、ジョンソン&ジョンソングループが、世界250社、約11万4000人に健康教育プログラム(人件費:健康・医療スタッフ・事務職、健康指導等利用費・システム開発・運用費、設備費など)を提供したところ、健康投資1ドルに対して、3ドル分の投資リターン(生産性の向上、医療コストの削減、モチベーションの向上、リクルート効果、イメージアップなど)があったとされています。
この様に、健康経営を実行するコストに対して、3倍ものリターンとなってくる可能性があるということが示されており、これは経営を考えるにあたり重要な結果で、実行すべき戦略といえます。しかも、前述の様な休職者が出てしまうことを考えるとさらに健康経営に対する投資の効果は高まることがわかります。
健康経営の仕方
しかし、闇雲に健康経営に対する取り組みを実施しても、効果は限られたものになる可能性があります。
結果を急ぐばかりに、手法にとらわれ自社にあった取り組みを実施していない可能性があるのです。
例えば、健康経営の先発企業に習って、精神科医との顧問契約にてメンタルヘルス対策に取り組もうとしたとします。しかし、取り組む前に必要なことは、自社の状況が精神的なストレスが強い職場環境なのか、それとも身体的なストレスが強い職場環境なのかを評価する必要があります。また、職場環境の評価だけではなく、社員がどう考えているのかを知る必要があります。
弊社では、「健康経営ゲーム」などの研修・セミナーの前に、弊社考案の「職場の健康意識調査」の実施を推奨しています。
「職場の健康意識調査」では、社員の健康に対する「意識」と「態度」について分析します。全体的に意識が低い職場であれば、その要素を分析し知識や結果などについて研修・セミナーで問いかけをします。態度が低い職場であれば、実際に身体を動かしての結果がわかる「健康チェックカード〜心技体〜」に重点を置いての研修内容にしたりします。
何事にも、まずは現状を把握することが大事であり、せっかくのコストをより良い形で回収するために必要なことであるといえます。
自社にあった健康経営の仕方を考える際には、コストと現状の把握を考えてみてはいかがでしょうか。