スタッフの西野です。
皆さんは1日どのくらい歩いていますか?
以前に普段仕事をしている時にどれくらい歩いているか興味があったので、万歩計を使用して調べてみました。一週間ほどやってみましたが、平均で4000~5000歩ほどでした。私的には結構少ないというイメージを持ちました。
富山の方は都会の方と違い、会社への通勤は車を使用することも多く、ほとんど歩かない人が多いのかなと思います。以前、東京に行ったときに1日平均に15,000~20,000歩ほど歩いたことを今でも覚えています。その際、は普段歩き慣れてないためか、足の裏にまめができてしまった。歩数は地域や環境にも左右されますね。
少し古いデータになるかもしれませんが、厚生労働省の平成25年国民健康・栄養調査では日本人の歩数の現状は、1日平均で、男性7,139歩、女性6,257歩でした。私は2000歩ほど足らないので、1分間に100歩、歩くとして換算すると、日常生活で20分間程度の歩行運動が必要になるということになります。会社まで歩いて10分の私は、やっぱり毎日歩いて会社に行くべきですね。
※厚生労働省の平成25年国民健康・栄養調査
歩行と健康
歩くことは健康に良いとされていますが、いったいどのような理由があるのでしょうか?
健康のためには、食事のみならず、適度な運動など体を動かすことも重要と言われています。運動を含む身体活動をよく行う人は、生活習慣病の罹患率や死亡率が低く、また、高齢者にとっても日々の身体活動が寝たきりを防止する効果があると言われています。
国立循環器病研究センターの調査では、1日の歩行時間や1週間のスポーツ時間が長い人の方が循環器病による死亡が減少するという結果になっています。また、1日当たりの歩数が増えれば増えるほど生活習慣病による死亡者数は減少するという関係もみられています。
歩くことの効果
- 生活習慣病の予防
食べ物から摂取したエネルギーと運動により消費したエネルギーがバランスよく保たれていることが健康の為に良い状態です。しかし食べる量は変わらず、運動を行わないと摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り、使われなかったエネルギーは脂肪としてからだに蓄えていきます。この状態が幾度となく繰り返されると、脂肪が必要以上に蓄積し、肥満となります。そして肥満が原因となって糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病になるリスクが高くなります。これを改善する手段がウォーキングに代表される有酸素運動となります。有酸素運動とはその名前のとおり酸素を取り入れながら行う運動であり、体脂肪の燃焼には有酸素運動がもっとも効果的とされています。
- ストレス解消
歩くことの効果として、ストレス解消があります。放っておいてもストレスが溜まるのが現代社会です。それは脳内で分泌されるストレスホルモンと関係があるのです。
歩き始めて約20〜30分経過すると脳内で快楽ホルモンや、脳内麻薬とも呼ばれるドーパミンやベータエンドルフィン等の神経伝達物質が分泌されるようになります。
これらのホルモンがノルアドレナリンのようなストレスホルモンから脳を守るのです。歩くことは科学的にストレスに効果があることがわかっています。
- 脳の活性化
歩行時には、大きな呼吸で酸素を多く取り込むので、脳内に新鮮な酸素を送り届けることができ、脳の活性化に役立ちます。同時に、全身の筋肉を働かせることができるため、筋肉の収縮による適度な刺激を脳に伝えることもできるのです。さらに、歩くという行為によって、脳の活性化に良いとされる足裏への刺激も得られます。
- 睡眠の質の向上
現代人は忙しい人が多いため、睡眠が不規則になりがちです。また質の悪い睡眠状態のため慢性的に寝不足になっている人も多くいます。原因は自律神経の失調からくるものですが、自律神経のバランスを整えるのにはウォーキングというのはかなり効果的だとされています。ウォーキングのように足を使う運動は休息中の副交感神経の働きを活発にしてくれるからです。
- 骨が強くなる、骨粗鬆症の予防
骨を丈夫にするには二つあります。まず一つにカルシウムを取るということ。次に骨に刺激を与えるということです。カルシウムを取っても、ある程度の付加(運動)を与えないと骨は丈夫にはなってくれません。ウォーキングをすることで骨への適度な刺激となり、骨を作る動きを活発にしてくれます。また太陽の光を浴びることにより体内でビタミンDが作られ、カルシウムの吸収を促進してくれます。さらに、現代社会において特に地方での生活は、車での移動などが多いことから骨や筋肉に全く刺激がない生活をしていいることが多い状況です。骨や筋肉は刺激がない状態が続くと骨がスカスカになったり、筋力が衰えたりします。ウォーキングは骨と筋肉に刺激を与えてくれます。またウォーキングをすることで骨や筋肉の衰えを防ぐ効果があり、体を丈夫に保ってくれます。
- 便秘の改善
便秘に悩んでいる人は多くいます。特に女性は70%の人が便秘をかかえているという話も聞きます。そんな便秘ですがウォーキングをすることで排便がスムーズになるとも言われています。これは歩くことで腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になり便の排出をスムーズにしてくれるからです。歩く時は背筋を伸ばし、歩幅を広くするとより運動効果が高まります。
- 美容・ダイエット効果
人間の体は使わなくなると新陳代謝の働きが鈍くなり、筋肉が衰えてたるんできたりシワが出来たりします。しかし歩くことで体の代謝が活発になり、肌の新陳代謝も活発になります。新陳代謝を活発にするためには軽く汗をかく程度の運動が最適とされています。そういう意味でウォーキングは美容には効果的な運動といえるでしょう。ウォーキングで代謝の活性化が行われます。現在の私たちの体は休眠状態になっているのではないでしょうか?歩いていないから、エネルギーを効率よく代謝できていません。歩くことで血流量や脂肪燃焼効果が発揮されてより、痩せやすい体になります。
以上歩くことの効果についての解説でした。
詳しい理屈を抜きにしても、歩くと気持ち良いし、その後も身体が軽くなるのがわかります。素人でも健康に良さそうであると捉えることは明白です。歩く行為とは、からだの筋肉の60~80%をまんべんなく動き出させる働きをする全身運動です。その結果、新鮮な酸素が取り込まれ、心臓や内臓は活気を取り戻し、血液の循環もよくなっていきます。ただ単に歩くといっても、上記のように様々な効果が期待できることがわかったと思います。シンプルでお金もかからないですし、老若男女問わず誰にでも出来る運動、それがウォーキングです。私たちは歩くことで健康な生活に繋がっていきます。
歩数ではなく“ほどほど運動を”
1日どれくらい歩いたら良いのかということですが、よく健康づくりに「1日1万歩歩こう!」といわれますが、あれはどのような根拠があることなのでしょうか。歩くスピードや姿勢、年齢などにもよりますが、1分間に100歩、歩くとして換算すると、日常生活で稼ぐ歩数プラス100分間程度の歩行運動の歩数が、計「1日1万歩」という計算になるのかもしれません。普段歩いていない人には結構大変なことかもしれません。
普段2000歩程度しか歩いていない人に対して「1日1万歩歩きましょう!」と目標を掲げても、達成するのは難しいでしょう。そこで日常生活の中で「今より10分多くからだを動かしましょう」という指針が厚生労働省より出されました。10分多く動くということは歩数にすると約1000歩多く歩くということになります。たとえばエレベータではなく階段をつかう、少しの距離は自転車ではなく歩くなどすると、より歩数が多くなります。歩行以外にも電車では立つ、買い物はカートではなくかごを持つようにするなど少し行動を見直すことで10分多く動くことにつながります。無理をしないで自分にできることを考えてみると良いかもしれません。
歩数はひとつの目安にはなりますが、歩数「だけ」を信じて、一喜一憂していては、健康長寿という点では、間違った運動になってしまいます。普段歩いていない方は、いきなり1万歩を歩く、膝や足を痛めてしまう可能性もあります。自分のペースで、無理なく、楽しく続けられる方法で取り組んでみてください。健康増進のためにと、無理をしては本末転倒です。大切なことはやりすぎでもなく、足りなすぎでもない「ほどほど運動」です。「ほどほど運動」こそが、あなたの健康に対する「万能薬」なのです。
ウォーキングのちょっとした工夫としては、歩く時に少し大股気味にあることで背筋を伸ばして、良く手を振ることで、エネルギー消費があがり良いとされますので、ぜひ試して見てください。毎日少しの“ほどほどウォーキング”を楽しんでください。
ライター:西野大助
富山医療福祉専門学校理学療法士学科卒業
【理学療法士】
リハビリ専門職である理学療法士国家資格取得後、約10年富山県内の総合病院で急性期医療から回復期医療、在宅医療のリハビリに従事。その後SUDACHIに入社。パーソナル事業部の責任者を務め、主にパーソナルトレーニングや集団でのパフォーマンス指導や姿勢指導、傷病予防などの分野を担当している。また、病院在籍中から現在にかけてスポーツ分野での障害予防などにも積極的に取り組んでいる。