1日を通して、もっとも時間を多く使い過ごす場所。そう、それは職場です。そして職場には必ず上司・部下を含む同僚とのコミュニケーションが存在します。弊社のビジネスゲーム「健康経営ゲーム®」では、上司役4役職と部下役4役職に分かれてビジネスゲームを進めていきますが、ゲームの進行にはそれぞれの積極的なコミュニケーションが必要であり、報告・連絡・相談を通じたコミュニケーションを体感的に学ぶことが出来ます。
今回もビジネスゲームとコミュニケーションの関係性について、上司と部下の関係性を踏まえながら考えてみます。
上司と部下の人間関係
公益財団法人日本生産性本部が公表している、第4回「職場のコミュニケーションに関する意識調査」結果によると、業務上のコミュニケーションに対する現状認識について、
(1)職場内のコミュニケーションについて、課長職の82.5%、一般社員層の78.9%が「取れていると思う」と回答しています。
その一方で、
(2)課長職・一般社員層ともに苦手意識をもっている割合は、「人間関係の構築(課長職49.5%、一般社員層55.4%)、自分より「年上の人に対する指導(課長職53.9%、一般社員層57.3%)」、「異なる主張をもつ相手へ自分の意見を伝えること(課長職52.9%、一般社員層59.9%)と回答しています。
IT化の進歩などによりコミュニケーションツールが多様化し、コミュニケーションを取れていると感じてはいるものの、その世代における教育や文化の違いや価値観の多様化によって、職場内においての上司と部下のコミュニケーションはますます難しくなってきているといった状況を表しているのではないでしょうか?
一方で、弊社の研修でも聴く意見として、上司・部下との関係に置いて、もっとも重要な事は?と問われると、ほとんどの方が「コミュニケーション」だと回答されます。特に管理職の方は、「部下を育成するにはコミュニケーションが必要不可欠で、なるべく多くの時間をとるようにしている」と話しされますが、「上手くコミュニケーションが取れているか心配」といった声も聞かれます。
それでは何故、上記のように業務上のコミュニケーションが苦手と感じたり、上手くコミュニケーションが取れているか心配になるのでしょうか?その理由の1つが「役割」の意味の把握だと弊社は考えています。
人間にはそれぞれ人格があり、その人格は役割によって変化するものです。
例えば、上司・部下のような会社での役割、夫・妻、親・子のよう家庭での役割、先輩・後輩・友人などの交友関係間での役割など、1人で多くの役割を通して生活をしています。この役割の意味や目的を捉えることが出来る=つまり自分の立場と相手の立場や求めているものを把握することによってコミュニケーションは円滑になります。
上司に求められる役割
それでは上司に求められる役割とはどのようなものがあるのでしょうか?
役割1.部下の指導と育成
仕事の多くは1人で行うものではなく、チームで行うものです。上司は部下に今までの経験などを通じて、上司自らが良い手本となり指導しなければ、チームとしての機能が成り立ちません。また、部下が成長できるように権限委譲し、支援するといった部下育成の役割もあります。
役割2.モチベーション管理
アメとムチといった言葉がありますが、モチベーションの管理も役割の1つです。部下へ権限委譲するだけではなく、進捗状況などを把握し褒めたり叱咤激励したりすることで、「関心を持ってくれているのだな」などの安心感ややる気といったモチベーションを高める役割です。
役割3.部下の特性理解と配置
人間には性格や得意不得意があるので、適材適所に部下の役割を配置することによって、部下の能力を最大限に発揮させるといった役割も必要となります。
役割4.結果への責任
部下がいる以上、その部下のすることに対しても責任を持たなければなりません。例えば、部下がトラブルやミスをして会社が損失を生んだ場合、上司が関係者に謝罪をしなければならないのです。
役割5.必要な時に相談に乗る
現在の多くの管理者は自身もプレーヤーとして働く、プレイングマネージャーが多いかもしれません。しかし、もし部下が仕事などで悩みを抱えているとしたら、チームのパフォーマンスは低下することは明らかです。相談にいつでも乗れる体制を整えておく事が大切です。
他にもあるかと思いますが、これらをまとめると、上司の役割は極論「部下に対して興味を持つ事」であると言えます。興味を持つことによって権限委譲から相談まで、必要な時に必要な時間対応する準備ができます。
健康経営ゲーム®︎では、上司役の4役職の内、特に社長や人事部の役職は、自分自らプロジェクトを実践することも可能ですが、より効率的に全体のゴールと自身のゴールを達成するには、部下の役職に上手く働いてもらう事が必要です。その為には、部下の役職の目標設定や状況を逐一把握する事が必要となり、情報収集が欠かせません。しかも、他の役職に動いてもらわなければならないので、信頼関係の構築も必須となります。
部下に求められる役割
一方で部下に求められる役割もあります。
役割1.能力の開発と成果
上司から求められる成果には、必要な能力があるものです。能力開発することによって、個人の成長と企業の成長が達成できるといった観点から自己投資は必須です。
役割2.自発的な報告・連絡・相談
上司への自発的な報告・連絡・相談ができるかどうかは、仕事の成果に直結する事項です。何のために報告・連絡・相談を行うのか?一言で言うならば、「上司に判断を仰ぐため」であり、「上司の経験から学ぶ」ためです。
役割3.会社での貢献
どんなに良いサービスや商品でも、サービスや商品を伝達する人やサポートする人が必要です。自分に与えられた仕事が、会社においてどのような貢献をしているのかを把握し理解する事が必要です。
部下の役割をまとめると、「成長と貢献」と言い表されるのではないでしょうか。上司の役割が「部下に対する興味を持つこと」であれば、それは「部下の成長を期待しているから」に他なりません。その期待に応え、結果会社に社会に貢献する事が組織全体の成長につながるのです。
健康経営ゲーム®︎では、部下役の4役職の動きが全体目標の達成に大きく寄与します。まさしく、「成長と貢献」によって組織全体が活性化します。ただし、「成長と貢献」を実行する為には、自発的に考え行動する力が必要となり、上司役や同僚役とのコミュニケーションが必要不可欠となります。ただ単純に成長すれば良いといった観点でゲームを展開して行くと、いつの間にか他役職から取り残される結果になりがちとなります。
健康経営ゲーム®︎と上司・部下の関係性
これ以外にも上司・部下の役割はあるかと思いますが、「ビジネスゲーム:健康経営ゲーム®︎」で気づき・学ぶ事ができる事の1つが「上司・部下の役割の重要性と目的」を考えたコミュニケーションです。1つの会社をゲーム上で模擬的に体験することにより、コミュニケーションの重要性をより感じ取る事ができます。
上司・部下のコミュニケーションやチームビルディングにお悩みの方は、ビジネスゲームを通じて改めて上司・部下の役割や関係性について見つめ直し、コミュニケーションを高めるための能力開発としてご検討してみてはいかがでしょうか?