健康経営とメンタルヘルス

以前の記事、データから見るメンタルヘルス対策と健康経営では「コミュニケーション」がメンタルヘルス対策には重要であり、会社組織でのコミュニケーションの取り方の学びの1つとして、弊社の健康経営ゲームを紹介させていただきました。

コミュニケーションが良好な組織と、良好でない組織での生産性はどちらが高いか、みなさんに質問すると、ほとんどの方が良好な組織と回答されると思います。

今回は違うデータから、もう少し視点を変えて健康経営とメンタルヘルスについて考えてみたいと思います。

 

メンタルヘルス休職者の割合

政府が公開している、平成25年労働安全衛生調査(実態調査)によると、過去1年間におけるメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者数階級別事業所割合は、該当あり(1人以上〜30人以上)が全体の10%を占めており、その内、事業所別に見ると、事業所規模1000人以上で88.4%、500〜999人で81.2%、300〜499人で64.6%、100〜299人で39.2%、50〜99人で15.3%、10〜49人で6.8%となっています。

10社に1社がメンタルヘルス不調により休業したスタッフを抱え、事業規模で見ると大企業になればなるほどその数は増えていきます。働く人が多くなればなるほど、コミュニケーションの問題は増え、メンタルヘルス不調に陥る人が多くなるイメージは多くの人が考え付くとは思いますが、改めて、結果としてこのようなデータとして現れていることがわかります。

 

復職者の割合は?

過去1年間におけるメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者のうち職場復帰をした労働者の割合は、職場復帰した労働者がいると回答した企業は51.1%、復職者がいないと回答した企業は43.5%と、復職者が半分以下という結果になっています。

1度メンタルヘルス不調に陥ると、約半数もの人が職場復帰できないといった現状を表しています。

これは、個人(社員)にとっても企業にとっても大変過酷なデータであり、双方に不利益(lose-lose)となる結果です。

社員にとっては個人の精神的な健康を害し、健康だけではなく、金銭的な不利益や次の職場を見つけるといった新たな労力も必要です。

企業にとっても、以前の記事、健康経営に関するコストでも触れたように、復職にかかるコストや、その他の人事や教育にかかる発生コストがかかります。さらには、評判といった企業ブランドを損ねる可能性もあります。

 

復職のルールはあるのか?

もちろん、メンタルヘルス不調で休業することがなければもっともよい結果ではありますが、不調に陥り、休業した際の復職にか関する取り組みが企業で決まっているかどうかは、社員にとって安心して働くことのできる重要な要素です。

メンタルヘルス上の都合により休業した労働者の職場復帰に関するルールの内容別事業所割合は、明文化された職場のルールがあるが18.2%、明文化されてないが、職場のルールがあるが6.2%、明文化されていないがその都度相談しているが39.8%、、職場のルールはないが28.5%と、ルールがある企業が3割にも満たない現状があります。ましてはルールがない企業も3割で、復職に対する理解がない企業がまだまだないことが浮き彫りとなっています。

確かに復職にかかるコストや復職までの過程には、とても大変な労力と時間とお金がかかります。しかし、そのルールが明確化されていないと、その状況に立った時に指針がなく、さらに労力と時間とお金を割くことになります。これは大きなリスクです。

ルールを作ることによって、そのリスクを抑えることができれば、企業にとっては大きな価値となります。まずは、休業している社員への価値。ハッキリとしたルールがあることで、目標がみつかります。人は目標が見つかってこそ行動できます。次に、休業している人以外の社員への価値。ルールがあることで行うべきことがハッキリとなり、安心して働くことができます。そして、企業への価値。ルールがあることで方向性を見失わず、指針を示すことができます。さらには復職へのルールがあることへの安心感が、働きやすい職場環境に繋がります。

 

健康経営ゲームによる職場のルール作り

ルール作りをする際には、現状把握が重要となります。現状の問題を把握し、その対策を考えルールを作成する。そのルール作りに寄与できるツールが弊社のビジネスゲーム「健康経営ゲーム」研修・セミナーです。

健康経営ゲームは、会社経営の模擬体験ができます。

この模擬体験によって、組織の行動のクセや考え方がゲームに現れます。このクセを理解することが重要な経験となります。現実世界では1つの失敗が取り返しのつかない事態になることもありますが、模擬体験の世界では、「体験できてよかった。現実世界で失敗しないように対策やルールを決めよう。」といった対応が可能となります。

ゲームをプレイして終わりではなく、振り返りを通して自ら学び、チーム全体で省察を共有することで自分が気づかなかったことに気づく。そして、実際に明日からの行動やルールを決めて行動目標を実行すると言った過程を経験できます。

健康経営ゲームは、以前に紹介したチームビルディングに必要なコミュニケーションを高めるための仕組みだけではなく、フィジカルヘルスやメンタルヘルスに対する職場のルール作りや行動目標作りの仕組みも備えているのです。

職場のルール作りを通して、また1歩健康経営に近づくのではないでしょうか?