健康経営と「こころ」

以前の記事、「健康経営とストレスとメンタルヘルス」についても触れましたが、こころと健康は大きく強く結びついています。

現代人はさまざまなストレスにさらされています。仕事のこと、人間関係のこと、家庭環境のこと、お金のこと、心配や悩み事などストレスに繋がるものを数え上げればキリがありません。
そのような中で、日々心穏やかに笑顔で過ごすというのは難しいことかもしれません。

今回は、健康経営とこころについて考えてみました。

 

こころの健康とは

こころの健康については、心が「目に見えるものではない」ことから、周囲の人ばかりでなく、本人にさえ自分の心の状態が分からないことが多くあります。

原因と状態がはっきり分からないことから、さらにストレスとなるといった悪循環に陥るケースもあります。

こういった「こころと健康」が社会的にも注目されるようになり、2015年12月から職場でのメンタルヘルス対策として、労働者のストレスチェック(心理的な負担の程度を把握する検査)を1年に1回以上行うことが1部の企業で義務化されました。では、本当の「こころの健康」とはいったいどのような状態をいうのでしょうか?

 

健康という言葉について

健康ついて、以前の記事でも触れましたが、WHO憲章では次のように定義しています。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます(日本WHO協会訳より抜粋)。

言い換えるならば、「身体が元気で、こころのゆとりがあり、経済的にも満たされている」ということになります。

多くの人は、健康と病気を対比させて考えているため、病気でなければ健康であると考えてしまいますが、この3点のバランスが保たれてこそ、私たちは本当の意味での健康な状態といえます。今回は「精神的に」という所にピックアップして、こころの健康について考えていきたいと思います。

 

こころと身体はリンクしている

「病は気から」という言葉があるように、気持ちの持ちようで病は軽くも重くもなり、実際に医学的にもそれは証明されています。

例えば、自律神経の不調が生じるのは、主に悩み、心配などのストレスのためです。心の状態が自律神経を左右し、体に大きな影響を与えます。このような「心と身体の健康」についてはさまざまな研究がされており、『楽観的なグループの免疫細胞は数も多く、活発であったのに対し、悲観的なグループは免疫細胞の数が著しく低下し、その活動性も低くなり、感染症にかかりやすい状態になっていた』といった報告もあるほどです。

大きな悩み事や心配するようなことがあるとき、何をしていても、その悩み事や心配が頭から離れず、ずっと気持ちがモヤモヤして、食欲が落ちたり、眠れなかったりという経験をした人は多いのではないでしょうか。こういった状態が長く続けば、当然体調不良になっていきます。「病気」は、その文字の通り、「気に病む」と言っても過言ではないかも知れません。つまりこころと身体の健康はリンクしているのです。

 

短時間で効果が得られるリフレッシュ方法

自分に合ったリフレッシュ方法が見つかればいいのですが、そううまくはいかないものです。ただ、そう難しく考えないで、簡単な方法でリフレッシュをしてみてはどうでしょうか?いくつか紹介したいと思います。

1.少しでもいいので、体を動かす!

身体的な運動で脳の生産性は上がります。簡単に体を動かすことで、脳は刺激を受け、リフレッシュすることができます。季節の花や木々を眺めながら、ゆっくり歩くだけでもよい気分転換になります。運動や歩くことは健康にいいだけではなく、心のリフレッシュにつながります。

2.その場で深呼吸してみる!

大きく息を吸う事が脳への刺激となって、脳は身体に「リラックスしなさい」という命令を与えるので、肩や全身の力が抜け肩こりなどの解消になります。疲れた時や不安になった時は、ゆっくりと鼻から息を吸って口からゆっくりとはいて深呼吸すると、体の力が抜けて気分が楽になります。

3.糖分補給で頭をリフレッシュ!

・糖分は、脳が働くためのエネルギーになります。糖分を含んだお菓子などを食べることで、脳にエネルギーを補い、頭をリフレッシュさせることができます。脳のはたらきを助けるためには甘いものに含まれるブドウ糖を補給することが効果的と言われています。糖分が体内ですばやくエネルギーに変わって脳に届きます。糖分の補給が脳の回転を高めるためにも非常に大切です。ただし、食べ過ぎには注意が必要です。

 

健康経営はできることから

何事も行うときには目標が必要です。ただし、大きな目標を立てすぎても達成できないときには人は自己嫌悪になってしまうことがあります。

そうならないためにも、大きな目標とともに、その大きな目標を達成するための小さな目標設定が必要です。その小さな目標を達成するためには、小さなことを継続できる仕組みが必要だと考えます。

上記のような短時間でできるリフレッシュ方法は、まさに小さな一歩であり、健康経営もできることから始めることが重要だとSUDACHIは考えます。

できることから始め、こころにゆとりを持って仕事に取り組めるようになれば、また一歩健康経営は前進していくのではないでしょうか?

 

 

ライター:西野大助

富山医療福祉専門学校理学療法士学科卒業

【理学療法士】

リハビリ専門職である理学療法士国家資格取得後、約10年富山県内の総合病院で急性期医療から回復期医療、在宅医療のリハビリに従事。その後SUDACHIに入社。パーソナル事業部の責任者を務め、主にパーソナルトレーニングや集団でのパフォーマンス指導や姿勢指導、傷病予防などの分野を担当している。また、病院在籍中から現在にかけてスポーツ分野での障害予防などにも積極的に取り組んでいる。

最近結婚し、仕事でも家庭でも頑張ろうと意気込んでいる。