健康経営とメンタルヘルス③

以前の記事、健康経営とメンタルヘルスでは弊社ソリューションの「ビジネスゲーム:健康経営ゲーム」が、メンタルヘルス対策にとって有効なツールであり、職場のルール作りや仕組み作りにも寄与することを述べさせていただきました。

今回からは複数回に分けて違うデータや世間の情報などから、また違う視点で健康経営とメンタルヘルスについて考えてみたいと思います。

 

そもそもメンタルヘルスとは何か?

メンタルヘルスとは「心の健康」のことであり、うつ病などに代表される精神疾患を患う人の問題だけに限定されるものではありません。それは、心の病気にかかっていなければ健康であるとは、必ずしも言い切れないためです。「心が健康である」とは、前向きな気持ちを安定的に保ち、意欲的な姿勢で環境(職場や組織、学校など)に適応することができ、イキイキとした生活を送れる状態のことで、いわゆるポジティブマインドを保ちながら生活できているということです。

しかし昨今、職場や組織、学校などを取り巻く環境が大きく変化し、複雑な人間関係や多様なコミュニケーションツールの発達、長時間労働などのストレスによって、メンタルヘルスに不調をきたす人が増えています。その最たる状況が、うつ病などを発症し、職場で働けなくなったり、自殺にまで追い込まれてしまうといった状況です。

このようなことを未然に防ぐために、企業には多様なストレスを最小にできるよう、従業員が抱えるメンタルヘルスの問題について、解決支援に取り組むことが求められているのです。

 

メンタルヘルスと過重労働

メンタルへルス不調者が出ると、アブセンティズム(absenteeism:欠勤や休職、あるいは遅刻早退など、職場にいることができず、業務に就けない状態)やプレゼンティズム(presenteeism:出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題により、充分にパフォーマンスが上がらない状態)への対応に追われることとなり、企業の生産性は明らかに低下します。メンタルヘルス不調者への対応、周囲の業務割り振りなどの対応、取引先への対応などにヒト・モノ・カネを動かすことが必要となり、そのコストは1,000万円を超える場合もあります。

さらには、生産性が低下するといった業務に支障が生じるだけではありません。

昨今のニュースなどでも取り上げられているように、長時間労働などが原因で従業員が精神疾患に罹患し、会社の過失が認められると、損害賠償責任を問われることになります。リスク管理の点からも、非常に大きな問題と言えます。

 

働き方改革実現会議

このような状況の中、政府が主導で働き方改革実現会議(H29.3.17現在9回目)を実施し、時間外労働の上限規制等に関する政労使提案がなされています。

この中で、時間外労働の上限規制に関しては、

<原則>

○ 週40時間を超えて労働可能となる時間外労働時間の限度を、原則として、月45時間、かつ、年360時間とし、違反には次に掲げる特例を除いて罰則を課す。

<特例>
○ 特例として、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とする。

○ かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける。

○ この上限については、12か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで 80時間以内を満たさなければならないとする。2単月では、休日労働を含んで100時間未満を満たさなければならないとする。加えて、時間外労働の限度の原則は、月45時間、かつ、年360時間であることに鑑み、これを上回る特例の適用は、年半分を上回らないよう、年6回を上限とする。

という提案がなされています。

また、パワーハラスメント防止対策、メンタルヘルス対策として、

○ 労働者が健康に働くための職場環境の整備に必要なことは、労働時間管理の厳格化だけではない。上司や同僚との良好な人間関係づくりを併せて推進する。このため、職場のパワーハラ スメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う。併せて、過労死等防止対策推進法に基づく大綱においてメンタルヘルス対策等の新たな目標を掲げることを検討するなど、政府目標を見直す。

という提案もなされています。

昨今の労働災害などを受けて国が先導し、働き方を考えていこうという時代に突入しているのです。

 

健康経営

このような背景の中で、少しずつではありますが、健康経営といった概念が世の中にも浸透してきています。上記の提案の中にもある、労働者が健康に働くための職場環境の整備に必要なことは、労働時間管理の厳格化だけではない。上司や同僚との良好な人間関係づくりを併せて推進することこそ、健康経営の大変重要な部分であるといえます。

これはまさに、弊社が得意としている、「ビジネスゲーム:健康経営ゲーム」を使用した研修・セミナーのコンセプトでもある部分です。会社や組織などにおいて、上司や同僚との良好な人間関係づくりが必要であることは誰もが周知のところです。しかし、その人間関係づくりが一番難しい問題でもあります。

なぜ、難しいのでしょうか?

人間関係を良好にするためのツールや手段は、世の中には様々なものがあります。しかし、手段を用いたからといって人間関係が良好になるとは限りません。そこには、大切な情報が必要なのです。

上司や部下、同僚、仲間の人生や仕事の目的や目標を知っているでしょうか?この目的や目標を知らずに良好な人間関係は築くことはできないとSUDACHIは考えます。相手がどのような考えを持って過ごしているのかを分かれば、その情報を集めたり提案したりすることができます。そこにはお互いを思いやる温かいコミュニケーションが生まれます。その温かなコミュニケーションこそが、より良い人間関係を築き上げていくのだとSUDACHIは考えています。

この相手の人生や仕事の目的や目標を知ることの大切さを、模擬体験できるのが「ビジネスゲーム:健康経営ゲーム」です。社長や人事、管理職や社員といった役割に振り分けられ、それぞれの役割を模擬体験することができます。そして、役職には役職ごとの目標設定が書かれており、全体のゴールと個人の目標を達成して初めてゲームクリアとなる仕組みとなっています。そして何より、1役職の力のみでは決してクリアができない仕組みで作られており、他チームと協力することで初めて成果を上げられます。コミュニケーションがゲームのカギとなっているのです。

これらを模擬体験することによって、相手の人生や仕事の目的や目標を知ることの大切さに気づき、上司や同僚との良好な人間関係づくりの仕組み化を学ぶことができるのです。

働き方改革は、メンタルヘルスの中のコミュニケーションから。

メンタルヘルス対策としてコミュニケーションに投資をしてはどうでしょうか?