企業の最大の目的は、「利益を上げること」です。
これ以外にも、成熟した日本社会では、利益を上げることだけではなく、CSR:Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)など様々な環境が企業活動に関わっています。
特に、最近では労働環境に世間の注目が集まっており、CSRの取り組みとして、社員へのワークライフバランスへの取り組みや健康投資、健康経営の実践を進めている企業も出てきました。
一方で、企業の最大の目的である「利益を上げること=生産性向上」とワークライフバランスの関係は非常に難しい関係性があるといえます。
今回は健康経営とワークライフバランスについて、弊社の見解を示しながら考えていきたいと思います。
労働時間の現状
国際的に「働きすぎ」と揶揄される日本人ですが、、厚生労働省が公開しているデータによれば、~平成2年頃のバブル崩壊まで、年間の平均総実労働時間は2100時間前後で高止まりしていました。
その後、徐々に減少し、 2010年代には1800時間程度まで下がってきてはいますが、世界全体で みると、日本人がトップランクの長時間労働であることに変わりはないというデータもあります。
データでは長時間労働の是正が社会全体として進んでいるように見えますが、実際は、非正規のパートタ イム労働者比率が急速に伸びていることによるもので、その分、正社員が長時間労働となったためというデータがあります。
労働時間の長い人、短い人の二極化が起こっているのです。
働き方のインセンティブ
今までの働き方へのインセンティブの多くは、
1)賃金などの報酬を上げること
2)昇進させること
3)会社への帰属意識を持たせること
などがでしたが、管理者がすべてを実行できるわけではなく、たとえ、これらの条件を全部満たしても、その効果は一時的な効果になる場合がほとんどです。このような、様々な取り組みがあるのは、インセンティブ=モチベーション管理が「永遠のテーマ」といっていいほど重要であると考えられているからです。その理由は、「企業業績と直結するため」だからです。社員が自発的に企業への貢献意欲(=エンゲージメントやモチベーション)を持っていると、企業業績や生産性が上がることが昨今のデータ等で報告されています。
一方で、「健康経営と人材確保」でも紹介した、2017年卒マイナビ大学生就職意識調査によると、行きたくない会社の1位は「暗い雰囲気の会社(36.0%、対前年±0)」で17年連続の1位。2位には10年連続で「ノルマのきつそうな会社(30.4%、対前年0.6pt減)」。3位には「休日・休暇が取れない(少ない)会社(27.1%、対前年比 0.3pt減)」が選ばれ、5年連続で増加したとのことです。現在志望している職種別に、「行きたくない会社」を見てみると、全ての職種で「ノルマのきつそうな会社」または「暗い雰囲気の会社」のいずれかが最も多く選ばれていたとのことです。
これらの調査結果から、ストレスに関わる人間関係が良いことやワークライフバランスが保たれていること、業務的に過度な負担が無いことなどの他に、企業イメージが良いことなどが働くうえのインセンティブとして重要視されることがわかります。
ワークライフバランスの事例
なかなか難しいと考えられているワークライフバランスへのインセンティブ付与ですが、成功した事例を1つ紹介します。
SCSK株式会社は、長時間労働が当たり前と見られてきた情報通信業の中で、2013年4月より「年次有給休暇取得日数20日、平均残業時間20時間/月以下」を目標に掲げ、活動を開始しました。
ポイントは、残業削減にインセンティブをつけたことです。残業手当を原資にして、部門単位の達成状況に応じた賞与加算を実施(2014年度まで)。労働時間短縮をプラスに評価にして、残業を少なくしても年収が下がることがないように工夫したのです。
そして、効率的で生産性の高い仕事を行うため、アイディアコンテストや取組事例の表彰を実施するとともに、課単位での取組施策を社内ポータルに掲載し、業績目標にも取組みを連動させるなどの仕組みを作りました。さらに、業務プロセスを見直し、残業時間の長い部署には手順遵守を徹底させ、長時間労働や休日出勤に対する賦課金制度(社内管理上、営業利益に賦課し、役員評価等に加味する制度)や、長時間労働者に関する改善報告書(四半期単位で上司が人事部門へ提出)も導入しました。
健康経営とワークライフバランス
多様な価値観があり、その価値観を認めることが必要になってきている現代において、社員個人の働き方やプライベートの充実を、企業が進めていく事が今後の社会では必要となってきます。
超高齢社会を向かえ、「ヒト・モノ・カネ」のうち「ヒト」の経営資源が少なくなる社会の中で、企業の業績を上げるためには、社員を大事にする健康経営の考え方が必ず必要となってきます。ワークライフバランスもそのうちの1つであり、積極的な取り組みが今後求められていく事になります。
その根源にあるものが、社内のコミュニケーションであることは上記のアンケート結果からも明らかです。
SUDACHIは「ビジネスゲーム:健康チェックカード」と「ビジネスゲーム:健康経営ゲーム」のソリューションを活用しながら、「社員一人一人が健康で、生産性の高い組織」をつくるお手伝いをしていきます。