健康経営と健康への意識

今回は、厚生労働省が発表している「高齢社会に関する意識調査」の結果から、健康経営と健康への意識について考えてみたいと思います。

これから生産人口が減っていく社会の中で、健康に関する問題や健康でどれだけの間働くことができるのかといった問題は避けて通ることはできないと考えます。

今回の調査から、改めて健康経営に関する知識や仕組みが必要であると考えさせられます。

 

*参考:高齢社会に関する意識調査(厚生労働省 2016年10月4日)

*この調査は、高齢期に関する意識の傾向を捉え「平成28年版厚生労働白書」の作成に当たっての資料を得ることなどを目的として、平成28年2月に厚生労働省が実施したものです。調査では、40歳以上の男女3,000人を対象に、高齢期の就労、健康づくり、一人暮らし、地域の支え合いなどに関する質問について、回答を得ています。

 

7割以上が老後に「健康上の問題」を不安に感じている

老後の不安(年齢別)

図16

老後の不安(回答は3つまで)については、「健康上の問題」(73.6%)、「経済上の問題」(60.9%)が上位を占めています。

年齢別にみると、年齢が低いほど「経済上の問題」、「住まい・生活上の問題」をあげる割合が高く、年齢が高いほど「生きがいの問題」をあげる割合が高くなっていますが、年齢関係なく、「健康上の問題」、「経済上の問題」を考えていることが分かります。

特に、40歳台から「健康上の問題」について考えていることは、昨今の健康意識の高まりを実感させます。

健康と経済の側面は、健康経営に直結する肝心な部分であり、その両輪をしっかりと回しながら過ごしていく事が重要になります。

お金のために健康を害してまで働く環境は決して幸せな結果にはつながりません。むしろ、健康を害するとよりお金がかかってしまうといった悪循環に陥り、それは家庭だけの問題ではなく企業にとっても新規採用などへのコストといった問題にもつながります。

 

健康寿命を延ばすためには「良好な生活習慣」が大事

健康寿命を延ばすために重要な事(男女別)

図17

健康寿命を延ばすために重要なことについては、「適度に運動をすること」(61.9%)、「休養や睡眠を十分にとること」(58.3%)、「バランスのよい食事や家族・仲間と食事を取るなどの孤食を防ぐこと」(51.8%)が上位を占めています。

性別にみると、「休養や睡眠を十分にとること」は男性に多く、「バランスのよい食事や家族・仲間と食事を取るなどの孤食を防ぐこと」「家族や友人との交流」「身の回りのことを自分ですること」は女性に多い結果となっています。

これは、まだまだ仕事をしている割合が多い男性が、休養をとりたいといった要望があるのに対し、女性は食生活や精神的なストレスをケアしたいといった表れであるともいえます。

ただし、どりらにせよ、「良好な生活習慣」が必要であることを男女ともに分かっているということです。

 

半数弱が「ダブルケア」を身近な問題と考えている

ダブルケアへの問題意識

図15

さらに、「ダブルケア」(育児と介護に同時に携わる際の負担などの問題)について、身近な問題と思うか聞いたところ、「思う」「どちらかというと思う」の合計が45.4%となり、半数弱の人が身近な問題であると思っていることが示されました。

これは、昨今の少子化や核家族化が原因だと考えられます。

介護をする役割分担(兄弟が少ないなど)や、離れて暮らすことで子育てに協力できる体制が近隣に少ないなどの、様々な問題があることがこの結果となっているのではないでしょうか?

 

健康経営と健康への意識

以上から、健康への意識は各年代男女ともに高いことが分かりますが、問題はその対策と実践です。

40代から老後への健康に対する心配があり、健康寿命を延伸するには「良好な生活習慣」が大事だとわかっている。しかし、実際には我慢や節制などの個人の行動のみに健康管理を頼ってしまっている現状がまだまだあるのではないでしょうか?

さらに、少子化や核家族化により介護や育児に関する人・モノ・金の資源不足も健康管理に悪影響の追い討ちをかけている時代背景であると認識しています。

 

やはりそのような背景を考えると、個人として健康に対し意識をしており、さらに企業も個人の健康へ意識を向けることが今後必要な時代になってくるのだと思います。

その代表例が健康経営であり、従業員の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで従業員の健康の維持・増進と会社の生産性向上に繋がって行くのだと思います。