健康経営とデータから見る疲労と睡眠

以前の記事、「昼寝と健康経営」でもふれましたが、睡眠や昼寝には疲労回復の効果やパフォーマンスを向上させるといった効果があります。

スポーツの分野では、睡眠とパフォーマンスにおいて、反応時間や認知能力といった、脳神経に関わる能力には比較的はっきりとした影響が出るがわかっています。イギリスで行われた競技ダーツに関する研究では、1日だけ睡眠時間を3~4時間に短縮したところ、翌日の成績が約0.5点悪くなったとの結果が出ています。

*参考文献:内田直教授・『アスリートの「睡眠」と「生体リズム管理」』
『コーチング・クリニック2010年10月号』P79~80・ベースボール・マガジン社

このような研究結果は、睡眠時間をコントロールすることで、個人パフォーマンスが向上し、会社の業績に影響することを示しています。

今回は、厚生労働省が公表している、睡眠時間や疲労に関してのデータから健康経営について考えてみたいと思います。

 

疲労の蓄積度と睡眠時間

疲労の蓄積度

1疲労の蓄積度

厚生労働省のデータによると、勤務日における睡眠時間と疲労の蓄積度において、睡眠時間が3時間未満の人は、疲労の蓄積度が高い24.6%、非常に高い28.1%、3時間以上6時間未満の人は高い22.0%、非常に高い24.3%とおよそ半数以上が疲労を感じており、6時間以上睡眠時間をとっている人は、およそ50%以上が疲労の蓄積度が低いといった結果となっています。

睡眠時間6時間を境に、疲労の蓄積度が変わることを示唆しています。

人それぞれ、睡眠時間に対する個人差はあるものの、6時間以上の睡眠時間を確保した方が、疲労は溜まりにくく、個人のパフォーマンスが向上することです。

実体験としても、睡眠時間が不足すると日中に眠くなったり、身体が重だるいといった身体症状を経験したことがある方は多いと思います。

 

ストレスの状況と睡眠時間

ストレスの状況

2ストレスの状況睡眠時間

ストレス状況と勤務日における睡眠時間では、ストレスを感じている点数が4点~8点以下と9点以上において、睡眠時間が6時間未満の人では50%を越えており、6時間以上睡眠時間をとれている人は、ストレスをあまり感じていない結果となっています。

ストレスにおいても、睡眠時間6時間を境に、ストレスを感じる度合いが高まることを示唆しています。

実体験としても、睡眠時間が不足すると日中イライラし、ほんの些細なことで人にきつく当たってしまったり、簡単なミスを多くしてしまうといったことを経験したことがある方は多いと思います。

 

睡眠時間の充足状況と足りない理由

睡眠時間の充足状況

3睡眠時間の状況

睡眠時間が足りていない・どちらかといえば足りていないと回答した人の割合は、合わせて45.6%。約半数の方が、睡眠時間が足りていないと回答しています。

睡眠時間の足りない理由

睡眠時間足りない理由

その理由については、残業時間が長いためが36.1%、家事労働に要する時間が長いためが27.5%、通勤時間が長いためが18.7%、帰宅後も仕事のメール・電話対応等で拘束されるため8.6%と、就業と家事の両面の影響があることがわかります。

理由の多くが残業時間が長いためという結果は、睡眠時間の確保と仕事時間が密接に関係していることを表しています。

 

健康経営と睡眠時間

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これらのデータが意味しているものは、働く人の約半数もの人が睡眠時間について充足しているとは感じておらず、身体的に疲労を感じ、ストレスを感じながら仕事を行なっており、その原因が働き方に関係していることです。

これでは、会社の生産性は上がりません。

残業することが悪いとも限りませんが、昨今の残業時間とうつ病などの発生に関するメディアなどでの情報からも、残業時間をコントロールすることが、疲労抑制や生産性向上への1つの観点であると言えます。

やり方は様々あるかと思われますが、以前ラジオで紹介されていた残業時間減少への取り組みとして、

①ノー残業デイを設ける

②強制的に消灯する

③強制的にPC電源を切る

などが紹介されていました。

なかなか、強制力の強い方法もありますが、このような取り組みも1つの手法であることは間違いなさそうです。

大事なことは、自社の文化にあった方法を、社員と考え実践して行くことであるのではないでしょうか?そこが、健康経営の始まりでもあるとSUDACHIは考えます。